2011年9月29日平和・民主・革新の日本をめざす東京の会(東京革新懇)代表世話人会
未曾有の「東日本大震災」・福島原発事故に遭遇し、国民は、日本社会のあり方の根本的見直しが必要ではないかと、家庭、職場、地域で考え、議論を始めています。いのちや家族の絆の大切さだけでなく、競争第一、効率優先を続けることに疑問を持ち、「助け合い」「協力・共同」の意義を再認識しています。被災者の救援や災害の復旧で、寝食を忘れて頑張っている公務員の活動を評価し、民営化・人減らし「構造改革」路線の是非を問い直しています。
このような中で、大阪府の橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」は、9月21日、「教育基本条例案」と「職員基本条例案」を大阪府議会に提出しました。これは、公立学校の入学式や卒業式の「国歌斉唱」時に、教職員の「起立」を義務付けた「君が代」強制条例(2011年6月3日成立)の延長線上にあるもので、次に述べるように、教育の条理に反して、知事の教育への不当な介入を策するものと言わなければなりません。
「教育基本条例案」は、「知事が教育目標を制定」し、それを具体化した評価基準で「人事評価」を行い、評価結果で教員を免職へ追い込む強圧的なものです。また「職員基本条例」は、府庁幹部をすべて任期付き職員として公募するなど、公務員の政治的な中立性を損ない、知事言いなりの職員づくりをめざすものです。この二つの条例案は、相乗効果で、教育にとって必要な教師の自主性・自発性を奪い、子どもの笑顔あふれる学校づくりを妨げることは間違いありません。
「管理と競争」の教育や「日の丸・君が代」の強制で全国的に突出している東京都で起きた「七生養護学校事件」で、9月16日、東京高裁は、教育内容に介入した都議とこれを容認し教員を処分した都教委を断罪する判決を言い渡しました。その中で、教育委員会の権限は「教員の創意工夫の余地を奪うような細目までにわたる指示命令等を行うことまでは許されない」と述べています。最高裁判決(1976年)も「国家権力による教育内容への介入はできるだけ抑制的でなければならない」としています。
ところが大阪府の条例案は、教育の自主性・自律性・民主性を保障する教育委員会制度も無視して、知事が教育現場に直接介入するもので、東京都と比べてもより強権的で言語同断といわなければなりません。
私たちは、日本国憲法を生かし、自由と人権、平和と民主主義が発展する日本をめざすことを「共同目標」のひとつに掲げています。この立場から、子どもたちの健やかな成長を願い、教育の自主性・民主性を守るために、橋下大阪府知事と「大阪維新の会」に対し、憲法第15条第2項(公務員は一部の奉仕者でない)に違反する「教育基本条例案」「職員基本条例案」を撤回することを強く強く求めます。
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